概要
親鸞聖人の教えが建学の精神になっています。1888年に創立され、週1回の礼拝と、毎朝の朝礼があります。仏教系の関連大学に多くの推薦枠を持ちます。部活動は、バトン部の活動が盛んです。
昼食
弁当持参、売店
土曜日
通常授業
4大進学率
80.0%(2014年)
主な部活
運動部 : バトン、ソフトテニス、バドミントン 
文化部 : 吹奏楽、美術、香道
公式ホームページ

制服紹介

毎日身につけるものだからこそ、品性を大切にしたい。千代田女学園が紡いできた伝統を踏まえながら、今という時代をも感じさせる制服です。着心地のよさを重視した素材を採用し、トラディショナルな中にも、生徒一人ひとりの個性や感性が輝くデザインとなっています。

施設紹介アイコンがある画像をクリックすると、全天球カメラ画像で施設を見ることができます。

スタディーホール(図書館)

大講堂

視聴覚教室

ピロティー(中庭)

グラウンド

専門家によるレポートレポーター:森上教育研究所 顧問 千葉 義夫

沿革と概要

千代田女学園は、1888年(明治21年)に女子文芸舎として現在の千代田区四番町に創立されました。創立者は島地黙雷師で、大乗仏教の精神、親鸞聖人の浄土真宗のみ教えを、教育の柱に据えた女子教育を開始しました。わが国の女子教育という側面では、その草分けともいえる学園であり、遅れていた日本の女子教育をリードする存在の学校として知られています。その後、校名を女子文芸校に改称し、明治43年には高等女学校令により、さらに千代田高等女学校となりました。昭和2年には財団法人・千代田女学園が設立され、その基盤がより盤石なものとして学園整備が進展。第二次世界大戦を経て、戦後の昭和22年には学制改革により新制中学校を併設し中学校・高等学校の6カ年一貫教育が開始されました。平成25年には、創立125年を迎え、長い歴史と伝統を有する女子校として、他に類のない女子教育を地道に実践したきた学園です。

千代田女学園の環境と雰囲気

千代田区四番町は、以前は閑静な住宅地であり、いわゆるお屋敷町でした。現在は、近隣に多くの著名女子中高が点在するとともに、各社のオフィスや各県の東京出張所なども設置されている落ち着きのある佇まいが特徴の地域です。いわゆる盛り場が皆無で、中学高校の近隣環境としては、きわめて優れたロケーションといえます。また、交通も至便で、JR、地下鉄各線の最寄り駅からのアクセスは徒歩10分以内であり、東京都内はもちろんのこと、近隣の神奈川県、千葉県、埼玉県などからの通学も可能であり、広い範囲から生徒が通学しています。学園キャンパスは都心の学校ですので、広いグラウンドこそないものの、長い歴史を反映して木々が生い茂り、緑が目を楽しませてくれる勉強に最適の環境が用意されています。女子中学生・高校生が伸びのびと中高6年間の学校生活を送るのにふさわしいキャンパスといえるでしょう。

千代田女学園の教育理念

もうすぐ130年にも達せんとする長い歴史を誇る千代田女学園は、その長い年月の風雪を経て、文字通り「不易流行」の教育理念を実践してきた学校です。変わることのない基本的な教育理念として、「品位ある自立した子女の育成」を掲げ、仏教を基盤においたブレのない着実な女子教育を展開してきました。それとともに、時代の要請に応えられる社会に有為な女性輩出をめざし、語学教育に力を入れるとともに時代に即応したキャリア形成を可能にする人間形成教育においても、着実に教育実践を積み重ねてきています。
仏教精神を基にした宗教教育を基盤に、大乗仏教の精神に基づき、自他を分け隔てなく、文化を超えて、ともに理解し合い、ともに助け合って生きていくという国際理解教育を行うことで、時代の要請であるグローバル社会に対応できる教育をめざしています。そしてさらに、福祉教育を通じて、大乗仏教の精神となる慈悲の心を育み、共に生きることを学びます。
この「宗教教育」・「国際理解教育」・「福祉教育」が千代田女学園の教育理念における三本柱であり、これらが互いに有機的に結びつき、理想の女子教育実現をめざして教育活動が展開されています。

学校訪問リポート

千代田女学園を訪れる人が一様に感じるのは、その交通アクセスの良さです。JR市ヶ谷駅、東京メトロ麹町駅、半蔵門駅など複数の最寄り駅から、徒歩数分内で学校に到着できます。そのうえ、通学経路に繁華街はなく、その面でも保護者にとって大きな安心感のある学校環境だと感じます。そして、一般に通学途上の中高生は、友だち同士で語らいながら、とかく小集団となり、行き交う他の皆さんの通行を阻害してしまうことがしばしば指摘されます。しかし千代田女学園の場合、最寄り駅が1つではなく複数あることに加え、学校に至る経路がいくつもあり、周辺のみなさんに迷惑をかけることなく登下校していることが大きな特徴のように思います。これは、前述したロケーションも理由でしょうが、それとともに学園が情操教育に力を入れ、頭から抑えつけるような指導ではなく、一人ひとりが、ごく自然にマナーを身につけた言動ができるよう日頃から留意している点が、登下校の優れた所作にあらわれているように感じました。学校の評価は、本来、こうしたさりげない部分に如実にあらわれてくるものだと思います。
構内に一歩、足を踏み入れると広々としたピロティーが広がり、心伸びやかになるような空間が目につきます。歴史の風格を感じる大きな樹木が木陰をつくり、その下には生徒が利用できるベンチが数多く配置されています。友だちと楽しく語らうことができるような配慮が随所になされている学園です。
校舎ならびに校内建築においても優れた施設が数多く配置されています。なかでも大講堂は圧巻です。1200名を収容できる講堂で、各種の学校行事や講演会、コンサートなど多彩な催しに活用されています。そして、特徴的なのは歴史のある伝統女子校にふさわしく、校内に複数の広い和室が設置されています。千代田女学園の特徴の1つである「礼法」の授業などにも、この和室が利用されています。
歴史と伝統を感じる校舎内は、いつも明るい生徒たちが行き来していて、すれ違う私たち来訪者に、きちんと挨拶する姿に、清々しいものを感じます。
そして、設備面で目についたものの1つが図書館です。図書館をスタディーホールとして位置づけ、たんに本を読んだり借りたりする場所にとどめることなく、幅広く教養を培うスペースとして機能しています。2012年のリニューアルによって、最先端の設備を拡充し、多様なニーズに応えられる知の総合センターとなっています。具体的には、30台のiPadを備え、日常の授業においてもIT教育が推進できる環境が整えられ、各科目において効果的に最新鋭機器も活用した充実した授業が展開されています。
古い伝統を誇るだけではなく、21世紀の新しい時代に対応できる女子校として、細心の注意をはらって教育環境の整備をおこない、新たな学園の時代を切り拓こうとしていることがよく分かります。

千代田女学園の教育内容

仏教的精神を建学の理念とし、情操教育に力点をおいた女子教育が展開されている点が最大の特徴です。もともと、教育において宗教的理念が果たす役割は小さくなく、私立学校だからこそ宗教的要素を教育に反映することができる利点を有した学校です。
学園としては、ことさら宗教教育を前面に出すことはしないものの、教育の基盤に仏教精神が根づき、生徒の情操を育み人間形成をしていくうえで、大きな柱となっていることを随所に感じます。そこに教育における宗教的な精神がいかに大きく作用するものであり、また百年を優に超える伝統の持つ教育の厚みを実感します。世の中が多様化し、様々な価値観が存在し、自らの立ち位置を見失うおそれもある現代社会において、千代田女学園は、創立以来の伝統である仏教精神を基盤において「自分らしく生きる」ことを大切に丁寧な教育活動を展開しています。
千代田女学園で教鞭をとる先生の中には、複数の卒業生の先生もいらっしゃり、そこに伝統校の強みを感じます。先生と生徒の距離感は近いものがあり、どの生徒も明るく伸びのびと学校生活を送っていることが外部の人間にもすぐに理解できます。校則や厳しい指導で規制することはしないものの、どの生徒もきちんとした服装で、先生方が温かく見守っているからこそ、こうした伸びやかさが生徒にあらわれるのではないかと思われます。

生徒本位の学校運営

そして、千代田女学園の他校とは異なる大きな教育の特徴が、徹底して「生徒本位」に学校を運営している点が特筆されます。ふつうであれば、たとえば朝礼や学校行事は、担当の先生が儀式などの運営・司会進行にあたるのですが、千代田女学園では、毎週の朝礼などの司会は生徒が担当します。これは、すでに伝統となっていて、長い間、このかたちで生徒が主導して実施されてきています。
さらに、伝統校であるからこそ、積極的なリノベーションを生徒目線で進める学園でもあります。そのあらわれの1つが、制服の改訂に見てとれます。現在の制服は平成11年に定められたものだそうですが、2015年から、より現代的なものに制服が新調され、「着るのがうれしい気持ちになる」制服へと変わろうとしています。ここにも、生徒本位を貫こうとする千代田女学園の姿勢がよくあらわれています。

千代田女学園の新たな歴史を刻む試みがスタート

このように長い歴史を背景に、他に先駆けて女子教育の先駆的な存在の千代田女学園ですが、2014年9月から、新校長に豊岡稔先生を迎え、新しいスタートが切られました。
これまでも、熱心に学校改革に取り組み、とくに高等学校における大学進学実績では目に見える実績を出しつつあります。中高一貫学習システムを整備・強化して、中学校1年生時から、「アドバンスクラス」と「リーディングクラス」が設置され、それぞれに応じた授業・学習指導が徹底される仕組みを採用します。これが、高校からはさらに、「特進コース」「グローバル・リーダーコース」「進学コース」に分割され、大学受験においても各人の志望をより実現しやすい態勢が整えられることになりました。
豊岡校長先生は、これからの千代田女学園の教育目標として、「1.学習指導」「2.人格形成」「3.キャリアデザイン」の3点を掲げています。 「1.学習指導」は、現行の大学入試制度の中で、国公立最難関校5教科7科目に対応出来るカリキュラムを編成、一人ひとりの生徒の“学力アップ(スカラシップ)”を目指すと同時に、優れた教養人(リベラル アーツ)としての学習指導目標としています。
「2.人格形成」は、浄土真宗の教えの基に、日々の学校教育の中で実践されていく「建学精神」による一人ひとりの個性を生かした人格の育成をするものです。
「3.キャリアデザイン」は、建学精神を生かした“進路の確立”の育成であり、千代田女学園中学・高等学校で学ぶ一人ひとりの生徒が、“自分らしく自立”していけるよう、一生懸命サポート・アシストしていくことが内容です。
このように、「学園のさらなる進化」を旗印にして、新たな歩みが着実に進められようとしています。

「ニュー千代田女学園」の教育に、いま、熱い期待が寄せられています。

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